121129_2049築30年はするだろうか、という雰囲気の劇場の楽屋にいる。その劇場はキャパは千人以上の大きなホールなのに楽屋は狭く、壁が黒で鏡台が横並びに7台あり、それに座ったらもう背中が付きそうな位の細〜い感じの室内でかなりの閉塞感だ。
その楽屋には誰かは分からないが私を含めて5名の男女がいて、どうやらこの人達はこれから19時開演の、この劇場でやる芝居に出る役者という事らしい。全員白いシャツ姿みたいな普通の格好で特に奇抜な衣装は着けていない。
時計を見たら18:55だった。
「もうすぐだな。」と思った瞬間、制作の方らしき女性が楽屋に飛び込んで来てこう叫んだ。
「今夜の公演は場所が別の所に変わりましたので今から移動して下さい!セットもお客さんも全て移動しました!」
どういう事でそうなったのか全く理解出来なかったが、その制作さんがあたかも我々の何らかのミスでそうなったかの如きニュアンスで「早く移動して下さっい!」とイライラな感じでまくし立てるので、役者達は急いで必要な物を持って楽屋を出た。
開演までは残り5分しかない。
しかしその「別の所」とやらまで到着するまでどれだけかかるか全く分からない。
だが分からないけど急がねばならない。
我々は暗い舞台袖を走り抜け、劇場の外に出た。
私も走り抜け「外に出た!」と思ったのだが、そこは私が高校生の時の自分の部屋だった。
6畳で机とベッドと本棚がある。
しかしやけに物が散乱している。
私は「なんか散らかってんなぁ。」って思った。
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