楽屋、みたいな所にいる。
鏡前が8名分はあるそこそこ広い室内は壁も床も全て白だ。
私はその楽屋を一人で使っている。
そして私は時計を見て「さて、準備するか…。」と思い立ち上がり衣装に着替えた。
その衣装はターザンが着ける様な腰巻き一丁でしかも色は白。
続いて黒いドーランを取り出し全身に丁寧に塗りだした。
腰巻き以外は真っ黒に完成した己の風貌を鏡でチェックしながら私は
「俺は…なんなんだろう?…黒豹なのかな?」
と思っていた。
するとドアが開きスタッフらしき女性が入ってきて「出番で〜す、お願いしま〜す。」と私を呼んだ。
私は彼女の後をついていった。
この場所はどこかのスタジアムみたいだ。
廊下を進み、階段を降りて、また廊下を進み、が延々続いてやっとステージの裏に到着した。
やはりどこかのスタジアムのアリーナだった。
そして下手側に連れて行っていかれて、組まれたセットの裏の足場をドンドン登っていった。
気が付くと足元20m下に沢山の観衆が見えた。
私は出番を待ちながら自分の体がちゃんと黒いかをチェックした。

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