アートである必要

130909_1717お疲れ様です!
古本屋にて4年前に茨城県で開催されていた『安田 靫彦展』の図録を見付ける。
私は今村紫紅のファンなので安田靫彦に関してはいつも気になっていたので「これは良い機会」と思い購入。
一番有名なのは『飛鳥の春の額田王』でしょうかね。
やっぱり作家というのはブレイクスルーする名作があるのと無いのとでは違う。
そして今回初めて知った作品『月の兎』に釘付けになった。
『今昔物語』にある物語の一つを描いた絵巻で、話の内容は…
兎と狐と猿が来世の為に現世では善行を積もうと誓う。
これを知った帝釈天が真意をはかろうと年老いた旅人の姿となって助けを求める。
狐と猿は食べ物を用意出来たが、兎は苦労しながらも探すことが出来なかった。
これを嘆いた兎は自ら生け贄になろうと狐と猿に火を焚いてもらい、その火に飛び込んで息絶える。
これを感服した帝釈天は兎の亡骸を月に葬った。
…という物である。
この物語の場面を9つに分けて絵巻で描かれているのだが、その中の
「自分の非力を嘆き死を覚悟してうなだれる兎」
の姿が気の毒で気の毒で…。
しかしこの小さな兎の絵一つが持つ豊かな情報量には目が眩む。
これが『アート』ッスね。
暫くはじっくり安田靫彦を鑑賞してみます。
しかし…今村紫紅の画集とか展覧会とか無いよな~。
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