いきなりだが舞台上にいる。
どこかのオペラハウスで上演されている作品に出演している様だ。
海外ではなく国内らしい。
私は舞台上手寄りにいる。本番真っ最中である。照明がガッツリ舞台全体を真っ白に照らしている。客席は一杯だ。
そして「またこの手の展開か…。」と思った。
つまり台詞はおろか作品の内容も全く分からないのに舞台上にいる、というあれである。
「とはいえ参ったな…どうしよう。」と思って下手を見るとワニの着ぐるみ(縦に着るヤツ。なので顔はワニの喉辺りにあり、基本的には腹をこちら側に見せている形態)を着た男性と青い配管ホース?(洗濯機の下部から水を排出するホースみたいな形状)の着ぐるみ(そんなもんあるのか!?)を着た男性の計2名が「おやおや、怒らせてしまったかな?」みたいなとぼけた表情でクスクスしながらこっちを見ているではないか。
雰囲気で分かったのだが、これは「次の私の台詞待ち」の状態らしい。
当然次の台詞など、知らない。
もうどうしようもないのでアドリブでワニと配管ホースの2人に向かって適当に節を付けて
「もう行ってしまうのか〜♪私を置いて〜♪」
と歌ってみた。
その時に気が付いたのだが、私はタコの足の(様な感じ。確証はない)着ぐるみを着ていた。
するとワニ&ホースは驚く事なくすぐに
「ウヒッウヒッ!なんだ今更〜♪」
みたいな感じで台詞を返してくるではないか。
私は「え?あれであってたのかな…しかし確かめようがない…。」と思いながら引き続き
「ネイヤ〜♪ネイヤァァ〜♪」
みたいな感じでそれ風な歌を適当に歌いながらワニホースを下手に追い詰めると2人は「ちょっと違うのに…。」みたいな困った表情で下手袖に消えていった。
「あれ?違かった?つーか、どれがあってんだよ!」と思った。
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