旅館などにある和室の大宴会場にいる。
私はとある旅公演の一座に参加していて、今日はこの旅館で公演をするらしい。
準備を進めていると制作サイドから30枚程の紙を渡された。そして「台詞が変わったので入れておいて下さい。」と素っ気なく言われた。
「ゲッ。」と思い中身をチェックしたら元の物(大体元が何なのかは全く分からないのだが…)と随分変わってしまっている様だし、開演まで30分しかないので急いで覚えようと台本に目を通し始めた。
そうしたらだ、急に○ルク・ア○・シエ○の○yd○氏が現れ、私に話しかけてきた。
h○○e氏は私に何らかの単行本を開いて見せて、何らかの質問を繰り返すのである。
「これなんだけど、どう思う?」
「ここはどういう意味?」
私は質問攻めに合いながらどんどん宴会場の奥の角(舞台とは反対側)まで押されて追い詰められた。
角には小さな机があった。
それは明治の文豪が愛用した的な風情の木製の低い机だった。
遂には私はhyd○氏と二人で正座して座り机に向かい、一冊の単行本の内容の解釈を巡って小声で語り合う、という状態になってしまった。
まずいな…私は台本覚えないといけないのに…しかし彼の事も無視出来ない…、なんて思っている内に芝居の幕が開いてしまった。
とにかく焦った!
台詞は全く入っていない。しかし芝居はスタートしてしまった。ヤバいよ!
私の出番は3ページ目からだ。
そしてあっという間にその場面になってしまった。
私は決めた…。
「もう…出るの止めます」
という事で悩むのは止めて、落ち着き払って遠くから舞台上を眺めた。
そこには2人の男が立っていた。
恐らくそこに私が入って行き何らかの台詞を言い、芝居は進んでいくのだろう。
しかし私は出るのを止めたのでこの芝居がここから進む事はないと思われる。
舞台上の2人は黙ったまま向かい合って凍り付いている。
私の横には未だ○yde氏が単行本と格闘している。
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