夢
(中央線っぽい)線路があって、その両脇に高い網があって、そしてその向こうに道路があって、その道路沿いには小さな商店が軒を連ねている。そんな良くある街並み。
その商店の中の一つである呉服屋の店頭に私は立っている。
雰囲気としては「誰かを待っているので暇つぶしにちょっと呉服屋でも見てみようか」といった感じだ。
という訳で私は店頭に「ワゴンセール」みたいに並べられていた端切れをチラチラと見ていた。
あっ、と気付いたらワゴンの横に緑っぽい色の和服姿の女性(20代前半)が申し訳なさそうに立っていた。
すると今度は、ガラガラとガラス戸を開けて店の中から灰色っぽい色の和服姿の女性(30代後半)が出て来た。
そして緑和服を見つけるやいなや
「あなたね、ここは老舗なんですからね。分かっていますか?あなたね、ここは老舗なんですから。」
と、灰色和服はやたらと「老舗」を強調しながら何らかの躾(パワハラまがい)をしている様だった。
暫くは店頭で私と緑と灰色の3人で何とも言えない雰囲気に包まれていたのだが私はいたたまれなくなり、その場を立ち去ろうとスッと振り返ると、そこには7、8人の野次馬がいて灰色の躾を見守っていた。
空は曇っていた。
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