大人っぽいギューギュー
お疲れ様です!昨夜放送のCX『NONFIX』に多大なる勇気を貰った。
テーマは『映画の劇場上映方法の変化』。
映画館では今までのフィルムでの上映から一気にデジタル化が進み、既に設備が整った劇場で上映する為には、撮影された素材をフィルムではなく、劇場に設置されているデジタル機材(DCP【デジタルシネマパッケージ】という)に対応するソフトに変換しなければならず、その費用に少なくとも一本100万円かかるそうだ。
今までの重いフィルムの移動費用や劣化を考えると対応ソフト化する方が効率的でしかも画像がキレイ!との事だ。
デジタル化の他の利点は例えば「作品の保護」。
DCPのシステムで上映する場合は、どこの劇場のどの機材で何時から上映するか、までを指定出来る。つまり上映する環境を配給会社が完全に管理する事が出来る。
そして映像の中には肉眼では見えない情報が入っていて、もし劇場で盗撮された場合その盗撮映像から、これがどこでいつ撮影されたか解析出来たりするそうだ。
スゲェ!ちゃんとしてんな〜とは思うが、結局は強力なコンテンツのガッツリ管理、囲い込みをしたい訳ですね。 勿論このシステムを推進しているのはU.S.A.の大手配給会社。
U.S.A.最大の輸出産業はキャラクターやブランドのコンテンツ産業ですからまあ「納得」ですね。
しかしもしこの先世界中の映画館がこのDCPの上映形態のみを採用する様になったら…つまりそれは
『劇場では誰かが決めた作品のみを、誰かが決めたスクリーンで、誰かが決めた時間にしか上映出来ない』
という世の中になる事になる。
困るのは、そのシステムを導入する資金力の無い小さな映画館や、少ない予算で作品作りをしているインディーズの映画作家である。
映画配給会社は採算の撮れない小さな映画館には映画を渡そうとしなくなったり、資金集めにヒーヒー言って映画作ったのにいざ劇場で上映する為に「もうプラス100万かかります」だったり…。
表現の世界にまた大人っぽい力がギューギュー押し寄せている。
それでもその状況に抗って劇場にこだわらない上映興行を行っている方々がいて、その様子を見ていると本当に勇気を頂ける。
演劇界における『朝劇』も正にその発想だと思います。
そう、演劇の世界にももしかしたら似た様な大人っぽいギューギューが押し寄せているのかもしれない。
それもまあ「ピンチはチャンス!」てな感じでズンズン進んで行きたいですね。
最後にLOU REEDに成り代わって叫びたい。
『新しい100万ドルの映画なんて誰が必要としているのだろう
新しい100万ドルのスターなんて誰が必要としているのだろう
風の中でつばを吐けば2倍になって返ってくるぜ』
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