130522_2141ビル内の暗い階段をトントンと上がる。
何階か上がると突き当たった踊場の先の壁に扉があった。
マンションのドアの様だ。
その白いドアを開けると中は狭い部屋だった。
その部屋はビルの角部屋なのだろうか。
ドアを開けたその正面50cm先にはいきなりガラス戸があり外の景色が見える。外は快晴で眩しい。
それは20階位の高さからの景色で下に見える沢山のビルの雰囲気からして、どうやらこの建物は都心部にそびえ立っているタワーマンションの様な物なのだろう。
そして室内だが、入って右手は前方と同じくその先1m先まで壁はガラス張りで、右手だけ見ていると雲の上に立っている様な気分になる。
左手をみるとやはり1m先に磨り硝子の戸がある。あそこは多分ユニットバスなのだろう。
つまり、ここは縦50cm、横2m位の実に明るいが狭いユニットバスしかないという角部屋であるらしい。
私はこの部屋に覚えはなかった。
すると奥のユニットバスから水の音が聞こえた。
私は扉を開けた。
中には湯船しかなく、泡でいっぱいの中に30〜40代位の男が浸かっていた。見えるのは上半身のみだ。
誰かは分からなかった。
そしてその男は泡の中から徐に透明のビニール袋に入った何かをザパーと出して私に差し出した。
良く見るとその30cm×50cm位のビニール袋の中には「うまい棒」「柿の種」とかポッキーみたいなお菓子が沢山入っていた。
男は私に向かってその「お菓子セット」を「ほれ、これだろ?欲しかったのは。」みたいな感じで突き出してくるのである。
私は「はぁ…。」と思うしかなかった。
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